【梶原加奈子の想いごと】
メイドインジャパンのものづくり
奥深いこだわりとファクトリーの新境地

この糸は、ここにしかない。作れる人はこの人しかいない。 産地の工場をまわっていると、オンリーワンの物を作っている人たちに出会う確率が高い。なんて苦労して極めたことに挑戦しているのだろう。話を聞いていると、心に熱いものが込み上げる。 どこにでもある物を作っていても商売にならなかったのだろう。難しいことに挑戦していかなければ、日本で物を作って仕事にしていくことが難しいのだろう。

日本に流通する服のうち国産品の割合は2%しかない。100枚に2枚だけ。この割合が今後回復するかというと、盛り返すのは極めて難しい。基本的に大量生産は低価格商品に向かっており、工場で仕事をする人材の確保も難しくなり、日本は大量生産をしていくキャパシティを失っていく可能性が高いと思います。


一方で、この2%の国産品がさらに減少していかないように考える人たちが増えてきたように思います。コロナが良くも悪くもきっかけとなり、発注量がさらに激減したなかで意識を変えて立ち上がっていく工場の人たちや、それを応援する社会が育ってきたように感じます。各国でロックダウンや物流の滞りがあり、海外で生産したものが当たり前のように届かないことを経験し、国内でモノづくりできる環境を残していくことに関心が高まっているのではないでしょうか。


工場の人たちも今までは作ることだけに集中してきたけど、これからは自分たちで企画して販売していくことまでやっていく時代だと、決意のもとファクトリーブランドの運営を頑張っています。でも、いきなり製品を考えたり写真を撮影したり文章を考えたりする作業に慣れていくのは難しい。なぜそこまでやるのか自問自答の不安な日々だろうと思いますが、新しい領域へ挑戦していくなかで自分たちの強みである技術に立ち戻ることを忘れずに、信念を持ち続けてもらいたいと思います。
工場の信念とは、やはり原点に戻り“良いモノ”の追求だと思います。着心地や機能性について常に考えている人たちは、繊細に自分たちなりの定義を持っています。 原料を見極め、工程を考えてきたモノづくりの道のりや定義は魅力的な物語であり、とても面白く奥深いです。見た目はシンプルだけど使っていくと良さが引き立つのがメイドインジャパンの強み。その背景をユーザーが知ることで、商品が輝くと思います。

ー“良いモノ”を、これからも

muto/Ramie500 ストール/¥35,200(税込)

麻の中でもトップクラスの細さを誇る糸。〈muto〉にしか織れないこの生地はシルクのような光沢と滑らかさが特徴です。グラデーションに染めてあり、巻いた際にいろいろな表情が出ます。大判サイズなのでスタンダートに巻いたり、オシャレなミラノ巻きも出来たり、また、生地がとても薄いので三角形にしてアフガン巻きや肩口に羽織ったりなどいろいろな使い方ができる万能サイズになっております。ファッションだけでなく、ご自宅のソファーやハンガーにさっと掛けとくだけで日々の暮らしも彩ってくれます。

POLS/極細コットンストール/¥7,700(税込)

綿の極細の糸、100番単糸を使用し薄く繊細な付け心地の〈POLS〉のストール。人の微かな息使いのような色合い、複雑な想いをなす心のような模様、それら全てを1枚の布に込めています。ハンカチのようにコンパクトに折りたたむことができ、旅先で重宝する1枚です。

kinudian/【UNISEX】Pajamas silk shirt/¥43,400(税込)

〈kinudian〉のパジャマシャツは、高級織物「丹後ちりめん」用のシャトル織機で織られたシルクを使用しています。通常のシャトル織機と比べて長いたて糸部分と、強い打ち込みが特徴の貴重な織機です。このシャトル織機でちりめんよりも細い糸でシャツ生地を織ることによってしっかり糸同士は高密度でありながら、空気を含んだようなふんわりとしたふくらみを保ち、シルクならではの滑るような肌触りと独特な光沢は残したまま、まるでコットンのような密度と風合いを兼ね備えています。

WHITE MAILS/【UNISEX】HIGH GAUGE URAKE モックネックTシャツ/¥15,400(税込)

シンプルでありながらシルエットと着丈のバランスにこだわったモックネックTシャツ。表側は細番手である88番のコットンを希少な機械を使って超高密度に編立てることにより適度なハリコシとしなやかな光沢感を、裏側には和紙糸を使用して程よいふくらみ感を出したこだわりのスウェット素材です。一般的なTシャツ素材(天竺)よりも厚く、スウェット素材よりは薄い絶妙な肉感が特徴。和紙糸をパイルに使用したこにより、その本来持つ吸湿性や放湿性により温度調節機能を備えているため室内、屋外問わず快適に着用して頂くことが出来ます。

絶対に“良い”と思って作ってきた、製造の歴史をファクトリーブランドは持っている。そのモノに価値あることを、私はもっともっと色んな人に知ってもらいたいと思います。

Text & Photo:
梶原加奈子

CRAHUGのクリエイティブディレクター。大好きなテキスタイルに関われる日々に感謝。北海道の自然がクリエーションの源。

Date: 2022.05.06

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