和紙糸。植物繊維をすいた紙で作った糸。

それは Paper yarnとも言います。

日本の昔から続く伝統技術から生まれた糸が、今の時代も快適な機能性ある素材として求められ続けています。その原料はマニラ麻(アバカ)になります。マニラ麻とは、バナナと同じバショウ科に属する多年草。苗を植えて3年という短いサイクルで5〜6mに成育します。伐採しても育成が早いため、この植物から出来た繊維は環境にやさしいサステナブル素材として世界的に注目が集まっています。

生活に寄り添う天然の恵み

マニラ麻の茎を伐採し、葉を取り除いた葉鞘(ようしょう)の部分を割いて、繊維を取り出していきます。この繊維は熱や湿気に強くとても強靭です。実はエレベーターなどのワイヤーロープの芯材や、船舶用のロープ、日本の紙幣の原料として使われているぐらい、丈夫な繊維です。

さらに、繊維の1本1本に空いている無数の穴が、天然の多孔質構造となり、超多彩な天然の機能性があります。

超軽量、通気性、吸水性、調湿性、保温性、消臭性、抗菌性、UVカット。。など、兼ね備えているんです。夏でも冬でも体が快適になるような天然の恵みが詰め込まれています。

水にも強い、腕によりをかけた和紙糸。

よく、和紙糸から出来た製品は洗えますか?と言われますが、洗濯しても全く問題ないです。私は洗濯機で気軽に洗っています。

意外かもしれませんが、和紙糸は、むしろ水や摩擦にも強い丈夫さが特徴です。また足をまもる要素も集まっており、長距離ランナーのランニングソックスとしても和紙糸は重宝されています。

このようなマニラ麻の長く強靭な繊維を原料に、伝統的な和紙の製法を活かした機械漉きの技術を用いて紙を漉きます。ちなみに機械漉きの和紙は、障子紙や書道紙、断熱材などにも活用されていますのでどこか懐かしい存在。また、和紙糸は昔から野良着の布としても手織で作られていました。

漉き上がった紙は、数ミリ単位でテープ状に裁断し巻き取ります。それから紙縒り(こより)を作る要領で撚り(より)をかけ、糸にしていきます。その工程で糸が切れやすくなるため、均一で丈夫な細い糸を作るには熟練の技術と繊細なケアが必要です。撚糸工場の職人技があってこそ、着心地良い生地が出来上がります。

2017年以降から欧州ではサステナブル素材のニーズが急激に高まり日本のPaper yarn素材がファッションやインテリア市場からより一層注目を浴びています。

2020年アフターコロナからは、日本でも環境について話されることも増えてサステナブル素材の関心度が高まりました。また、体をまもる多機能性の素材も注目の価値あると思います。

私も、もっと人にも環境にも「ありがとう」を還せるモノづくりがしたい。と思っていたところ、「和紙」を交えて様々な出会いがあり、この糸の魅力をもっと日常に浸透させていこう!!という想いに共感し、特に撚糸工程に特徴がある備後撚糸さんを中心にチームを組み「WHITE MAILS」が立ち上がっていきました。

未来の人に「想い」を届ける。

「WHITE MAILS」のブランド名には、和紙糸の白からイメージした清潔感、爽やかさ、安心感を人々に届けていきたい。という気持ちを込められています。

軽やかで、ドライだけど程よく柔らかな風合いの服は、家の中でも外でも心地良く着られるように、少しゆったりしたサイズで作っています。製品のデザインでは、出来るだけ廃棄する布が出ないように、直線的なパターンを採用しています。ボタンには土に還る素材、下げ札には再生紙を使用し、循環するモノづくりを全体の工程通して考えています。

これからインナーやタオルや靴下など、肌に直接触れる商品も増えていきますのでお楽しみに。和紙の肌感覚を皆さんと語り合いたいと思います。

Text & Photo:
梶原加奈子

CRAHUGのクリエイティブディレクター。大好きなテキスタイルに関われる日々に感謝。北海道の自然がクリエーションの源。

Date: 2021.10.28

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