「まだ図面になっていない状態からも照明をつくることができます」そう語るのは埼玉県八潮市にある株式会社ワイ・エス・エムの八島さん。オフィスビル、ホテル、住宅、観光列車、観光船などへの高品質な特注照明を製造してきた工場がつくりだす〈YSM PRODUCTS〉は「“ひととき”をつくる」がコンセプト。今回はそんな株式会社ワイ・エス・エムの八島さんにお話を聞いてきました。

ー何年創業ですか? 【八島】元々は昭和25年の八島照明製作所が始まりです。ちょうど蛍光灯ができたころですかね。私の祖父が創業者です。

ー蛍光灯と同い年!工場を継ぐきっかけはなんだったんですか? 【八島】先代の社長が突然亡くなったことがきっかけです。誰かが工場をつがなければなくなってしまうので私が継ぎました。初めの頃は覚悟なんてありませんでした。財政面のことを何も知らずに継いだので非常に苦しかったですね。売上より出ていくお金の方が多くて、支払いのある月末が嫌で嫌でしょうがなかったです。その時は自己破産だったり逃げることしか考えられなくなって精神的にも病んでしまったんですけど、「自己破産してもバラバラになんかならずについていくよ」と家族が言ってくれたり、スタッフも「まだまだやれるんじゃないの」って言ってくれました。自分以外の人たちは社長を継いだタイミングで覚悟していたけど、自分だけが目の前の仕事に取りつかれていたことにそこで気が付きました。継ぐ選択をしたということは逃げるなんて選択肢は初めからなかったんだと、やるしかないなとそこで覚悟ができました。

ーかなり壮絶だったんですね… 【八島】自分の会社の売上がどれだけあって、債務がどれだけあって、月々いくら返済しなくちゃいけなくてそのためには売上と利益はどれだけ必要かとか経営面のことを何も知らずに継いだので、目の前真っ暗みたいな状態でしたよね笑

ー〈YSM PRODUCT〉が始まったきっかけは? 【八島】毎年イタリアのミラノで開かれるミラノサローネ国際家具見本市に持っていくデザイナーの手伝いをしていて、デザイン1つで人々を喜ばせていたのを作り手の立場から見ていて一緒に作りたい、協業すれば僕らも喜ばせることができるのではないかと思ったのが一つと、特注の商品は売り上げの乱高下が激しいので空いた時間で何か作って売ることができれば、乱高下の波を抑えることができるんじゃないかと思ったのもあります。最新の設備があるわけではないんですけど、最初から最後まで一貫してつくることができるので、今までになかったデザインにも柔軟に対応できることはワイエスエムの強みだと思います。

ー柔軟に対応できるからこそ、〈YSM PRODUCT〉の照明は見たことがない形ばかりなんですね。 こだわりのポイントを教えて下さい。 【八島】コンセプトであるひとときをつくるを重視しています。日本だと1部屋につき天井に1つ照明があるのが一般的だと思うんですけど、天井の照明を消して使うことで少し笑顔が増える、料理が少しおいしくなる、安らげるようなライフスタイルの向上に貢献できるような照明を作れればと思っています。

ー最後に、未来への思いをお聞かせください 【八島】一般の方たちと触れ合いうことは利益や売上はあまり伸びなくても楽しいんですよね。だから1年に1個ずつでもプロダクトを作っていきつたいですね。将来的には光や照明といえば八潮にあるワイエスエムに頼めばなんとかなるなと思ってもらえるようになりたいですね。個人的な展望でいうとモノづくりで家族や身の回りの人をすこしでも笑顔にできればうれしいです。

Text & Photo:
田副太一

独自のセンスが光るカメラワークとユニークなキャラクターが癖になる、CRAHUGの撮影・イベント担当。朝ごはんはチャイとホットドッグが定番。写真は愛犬のハル。

Date: 2021.11.06

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