常に新しいモノづくりを
神藤タオル
タオルに対して、飽くなき探求心を持ち続けている〈SHINTO TOWEL〉。自社サイトではユーザーから直接意見をもらい製品化まで繋げるという、実験的で革新的なモノづくりも行っています。伝統的な技法・技術を背景に抱えながらも、常に時代に沿ったタオルを届け続けている、そんなブランドです。今回は神藤タオルの代表取締役である神藤貴志さんにモノづくりのことについて聞いてきました。
―創業は何年ですか? 【神藤】1907年、明治40年からです。3つの家が合同会社としてスタートしました。タオルやシーツから製造し始め、綿織物もやっていました。泉州産地はもともと綿花の栽培地で手ぬぐいの産地だったのですが、そこから派生して現在ではタオルを作っています。
―工場のある泉佐野市が泉州産地にあたるんですか? 【神藤】そうですね。南大阪あたりを総称して泉州と呼びます。今治だったら今治タオル、泉佐野だと泉州タオルのように産地をまとめて総称しています。
―〈SHINTO TOWEL〉を作ったきっかけはなんだったんですか? 【神藤】弊社でしか作れないものができたのがきっかけです。そこから大阪のモノづくりを支援するプロジェクトに参加し(デザイン会社さんの手助けもあり)ブランド作りに成功しました。
ーそうだったんですね。素材や原料に対するこだわりなどはありますか? 【神藤】昨年の7月からオーガニックコットンにすべての商品を切り替えました。自分自身はあまりオーガニックコットンが好きではなかったんですが、実際にトルコとエジプトの産地ツアーに行って無農薬、手摘みできちんと栽培されていることを見てきました。実際に世の中ではサスティナブルという観点が重視される中で、何も考えず作っているよりも、少しでも地球環境に貢献したいという想いから、このような決断をしました。
―周りの反応はどうでしたか? 【神藤】有難いことに海外からは素晴らしいという意見をいただきました。素材を変更した分、値段は上がってしまいましたが、好意的な意見の方が多かったですね。世間的にも環境問題に対する意識が変わってるのだと思います。
―そんなオーガニックコットンを使っている〈SHINTO TOWEL〉の商品ですが、その中で特徴的なものがあれば教えてください。 【神藤】「YUKINE シリーズ」になりますかね。このシリーズは後晒しという工程に通常の倍以上の手間と時間をかけてやっているので、油分や不純物がしっかり洗い流されている吸水性が良いのが特徴で、他では味わうことの出来ないタオルだと思います。
―後晒しっていうのはどういったものなんですか。 【神藤】晒しというのは綿の油分や不純物を落とす工程のことを言います。有名な今治タオルだとタオルになる前に糸の状態で晒しを行うので先晒し。弊社のタオルは織りあがってから晒しの工程を行うので後晒しと言います。製品化する最後の工程で晒しを行うことで、お買い上げいただいたお客様に吸水性良く使っていただける状態でお届けする事が出来ます。買っていただいてすぐに最高の状態で使うことが出来るのが、後晒しのメリットです。
―同じ工程でも順番が変わるだけで吸水性が変わるのはすごいですね。「2.5PLY-GAZE」シリーズの特徴はありますか? 【神藤】2.5重ガーゼは構造上は3重構造になっています。一般的なガーゼタオルは3重、4重の多重織りで同じ密度のガーゼが重なっています。2.5重ガーゼは構造は3重なんですが、真ん中の層が荒くなるように糸の絡め方を変えています。そうすることでふんわりとした質感に仕上がります。この構造は自社独自に開発したもので、弊社オリジナルの製造方法です。薄手で軽いけどボリューム感があり、乾きが早いのが特徴です。かさばらないので収納もしやすく、洗濯も楽になる便利で使い勝手のいいアイテムですね。
―一つ一つしっかり特徴やこだわりのある商品ばかりですね。最後の質問ですが、ブランドとして何を届けていきたいと考えていますか? 【神藤】とにかくお客さんに喜んでもらえる商品を作っていきたいです。タオル以外のものでも何かを買うとき、ふと思い出してもらえるブランドでありたいです。新しい挑戦にはコストも時間もかかるけれど、どんどんチャレンジしていきたいと思っています。