【特集】

神戸・長田から紡がれる、
靴づくりへの情熱と技術
株式会社ポインターシューズ

1970年の創業以来、靴のまち神戸の地で、高い技術と熱い情熱を持って靴づくりを続けてきた〈Pointer(ポインター)〉。 革新的なデザインと精緻なものづくりの融合を武器に、多くの支持を集めるシューズブランドです。 今回は、〈Pointer〉の歴史から始まり、職人の手仕事や素材へのこだわり、そして履き心地への徹底的な追求まで、ブランドを支える確かな技術と熱意を株式会社ポインターシューズ・専務取締役 安田正司さんの言葉を通して紐解きます。

履く人の足元に寄り添い、長く愛される靴がどのように生まれているのか。ものづくりの現場から、〈Pointer〉の魅力を余すところなくお伝えします。

情熱が紡ぐ、創業の物語と 受け継がれるものづくりの魂

-創業当時からのPointerの歴史について教えてください。 【安田さん(以下敬称略)】1970年の創業当時、Pointerはデザイン性の感度の高さとものづくりの精度の高さを武器に、激しい競争の中で確かな存在感を示してきました。

当時、神戸・長田には約600社もの靴メーカーがありましたが、その中で革製のロングブーツを作ることができたのはわずか9社。Pointerはその中の一社として、高難度のロングブーツの製造に挑み、長年にわたり高い品質を守り続けています。

また、日本で初めてストーム付きのサンダルを作るなど、革新的なチャレンジも重ねてきました。 先代は「試行錯誤を繰り返すものづくりの過程が本当に面白い」と語り、その熱意が今のブランドの礎になっています。

株式会社ポインターシューズ・専務取締役 安田正司さん

-安田さん、ご自身のものづくりの道に進まれたきっかけやPointerで大切にしていることを教えてください。 【安田】幼い頃からものづくりに興味があり、特に靴づくりの形にしていく過程と職人技の奥深さに惹かれました。 Pointerは先代から受け継いだ伝統と技術を守りつつ、新しい挑戦を続けることを大切にしています。 何よりも「履く人が幸せになれる靴を作る」という使命感を持ち、履き心地や耐久性、そして履く人の気持ちを高める付加価値を常に考えています。

職人が生み出す極上の履き心地

-Pointerの靴は履き続けることで馴染むのはもちろんですが、履いた瞬間から柔らかく靴ずれしにくい革だと感じています。実際の履き心地はいかがですか? 【安田】Pointerの革は、初めて履いた瞬間から非常に柔らかく、フィット感があり、足に負担がかかりにくいのが大きな特徴です。 この履き心地の良さは、素材の選定から製造工程に至るまで、職人が何重ものチェックを行い、細部にまでこだわり抜いているからこそ実現できています。

-靴づくりにおける職人技や素材へのこだわり、そして神戸・長田の産地ならではの強みについて教えてください。 【安田】Pointerのものづくりは、まず素材選びから始まります。長年お付き合いのあるタンナーさんに直接買い付ける革は、品質と美しさを兼ね備え、しなやかで通気性に優れています。 職人はその革の特性を最大限に引き出すため、靴のかかと部分の整形や熱処理、中敷きの素材選びに至るまで、足の重心バランスや親指の位置にまで細かく配慮しながら作業を行っています。

また、神戸・長田は靴づくりの歴史が深く、多くの熟練職人が集まる産地です。この地域特有の技術と素材の扱い方はPointerの靴の価値を支える大きな強みです。 合成皮革が増える中でも、Pointerは本革の質感と耐久性にこだわり、長く履き続けられる靴づくりを追求しています。

革の裁断の場面。革に傷がないか、しなやかかなど、買い付けた後も熟練の職人が、厳しいチェックをしているそう。

靴によって異なる細かい仕様も職人が1点1点丁寧に縫製します。

-製造工程や試作のプロセスについて具体的に教えてください。 【安田】製品によって異なりますが、3ヶ月で完成するものもあれば、1年以上かけて40回以上の試作を繰り返すこともあります。 自己満足に陥らず、社内で意見を出し合いながら、常にお客様の視点を意識して改良を重ねています。 細部の設計や素材選び、女性社員の意見も取り入れた繊細なデザイン調整など、妥協を許さない姿勢でものづくりに取り組んでいます。


型は靴によって1点1点試作し、改良を重ねているそう。

-Pointerのものづくりにおけるこだわりや、熱意を持ち続ける理由を教えてください。 【安田】ものづくりは単なる製品の生産ではなく、履く人の幸せや自信に繋がる靴を作ることが使命です。 形や製法だけでなく、履く人の気持ちを高める付加価値を大切にし、常にお客様に喜んでいただける靴づくりを目指しています。 この熱意こそがPointerのブランドコンセプトの核であり、日々のものづくりの原動力になっています。

使う人と共に歩むPointerの挑戦

-お客様との関わりやEC販売についてはいかがでしょうか? 【安田】以前は、靴は実際に履いて買うものだと思っていましたが、培ってきたブランドの信頼性やサイズ交換の対応ができることから、ネット販売も今後さらに成長していくと感じています。 お客様の声を直接聞き、近い距離感で製品づくりに反映させることで、信頼と満足を築いています。

-最後に、今後の展望やPointerが目指す未来について教えてください。 【安田】これからも神戸・長田の地で、職人の技術を大切に守りながら、時代のニーズに応じた革新的な靴づくりを続けていきたいと思っています。 ものづくりに特化した展示会への参加や、女性購買層の価値観を反映した商品開発など、新しい挑戦を積極的に行いながら、より多くの方に喜んでいただける靴を届けていきたいです。 消費者に身近な存在であり続けることを心がけ、常に進化を目指しています。


及川 理菜

Date: 2025.10.13

2才の姪っ子を愛でるのが趣味。CRAHUGのEコマース担当。好きなラジオのコーナーは霜降り明星のANN「ポケットいっぱいの秘密♪」のコーナー

CRAHUG編集部・おすすめの記事はこちらです

RECOMMEND