中島みゆきの『糸』は布を織る”織布”の歌。たてとよこの糸をあなたとわたし、その出会いを布に例えている。では出会う前のふたりはなにをしていたんだろう。それは父のパンツを拒絶する思春期であったり、母の小言が許せない反抗期だったりする。そんな1人の成長と自立の歌があるとすればそれは”撚糸”の歌かもしれません。

今回は〈WHITE MAILS〉より、備後撚糸株式会社の光成さんとヒロタ株式会社の竹内さんにお話を聞いてきました。

糸は人。結び目は手術後

糸と糸をねじり、撚り合わせてまた新たな1本の糸をつくることー撚糸。違う素材の糸を組み合わせたり、撚る強さを変えたりでつくられる糸はまた違うものになります。

ー光成さんの撚糸へのこだわりと思いを教えてください。

【光成】変な言い方に聞こえるかも知れないんですけど、糸には気持ちがあると思ってます。撚糸は工場に人がいない夜の間も稼働していて、大体、1本(約40Kg)の糸を撚糸するのに40時間くらい回っています。でも、ただ機械に糸をかければできるわけではなくて、たまに私が工場に入った時に目の前で糸が切れると「苦しかったけえ、俺の目の前で切れたんじゃな」と思うんですよ。切れたところをつなぐために、糸同士を結ぶとできるVの字の結び目も人間と一緒で、手術跡みたいな生きた証だと思っちゃいます。結びが愛おしいなと。言ってみれば自分の子供のような気持ちになりますね。だから撚糸した糸を出荷するときにはいい染工所にいったらいいなとか、いいものになったらいいなと、次の人にいいバトンを渡したいという気持ちは大事にしていますね。

備後撚糸株式会社の光成さん

ーとても素敵な考え方だとおもいます。そういった想いも今回の〈WHITEMAILS〉には込められていますか?

【光成】そうですね。撚糸というのは分業の一旦を担う形が多いので、最終的にはどういう製品になるのか知らない撚糸工場が多いと思います。今回の〈WHITE MAILS〉では竹内さんと密接に開発で関わって、一貫したモノづくりに携わらせて頂いている感覚がありますね。

【竹内】〈WHITE MAILS〉のひとつひとつは、ただ単にすばらしい糸や生地というだけではなく日本ならではのいろんな技術や機械を受け継ぎ続けている工場と、それを支える職人の「想い」が結集されて出来上がったものです。〈WHITE MILS〉の名前の由来は未来の人に手紙を届けることから来ているのですが、工場と職人の「想い」を長く続く未来へ届けていきたい、そんな思いも込められています。

ーその手紙を受け取り、さらに私たちからも多くの方に届けていきたいと思います。 最後におふたりのこれからの展望教えてください。

【光成】うちは小回りがきくので、商品に合う糸の組み合わせが考えられます。お願いされて撚糸するだけではなくて、私たちも発想し提案することをやっていきたいです。使う人たちに愛されて大事にされるような新しい糸を自分たちから動いて作りたいですね。

【竹内】和紙の着心地の良さをもっと追求したいですね。そして多くの方に実感してもらいたいです。自然への感謝の気持ちを忘れずに、循環するモノづくりを常に考えていきたいと思っています。

〈WHITE MAILS〉の糸は和紙が撚られている。ポケットにティッシュを入れたまま洗濯するとどうなるか簡単に想像できるように、和紙を洋服にするための糸づくりも織編も加工もとても繊細で難しい。でもだからこそ、日本で作られている素材として世界から注目を浴びています。

  • 備後撚糸株式会社

    備後撚糸株式会社

    和紙と育む、心地よい暮らし 和紙は快適な機能性を持った丈夫な素材として 日本人の暮らしのなかで昔から大切に使われてきました。 WHITE MAILSは、この自然からの恵みに感謝して 和紙糸を使用した素材や製品を開発し 安心感のある心地よい暮らしを求めている人たちに 届けていきたいという想いから生まれたブランドです 私たちは、これからの未来に向けて人と自然が 循環し共生していける社会作りに貢献していきたいと思います。

Text & Photo:
田副太一

独自のセンスが光るカメラワークとユニークなキャラクターが癖になる、CRAHUGの撮影・イベント担当。プライベートでは多くの時間を美術館で過ごす。写真は愛犬のハル。

Date: 2021.10.08

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